- 自分中心からの解放<教会便り 2001年10月号より> -
「あなたは熟練した者、すなわち、真理のみことばをまっすぐに説き明かす、恥じることのない働き人として、自分を神にささげるよう、努め励みなさい。」(IIテモテ2:15)

 多くの犠牲者と莫大な損傷・損害を出した9月11日のテロ事件から一ヶ月が過ぎようとしています。生々しい惨事の光景は現在も繰り返し報道され、ブッシュ大統領が普段の生活に戻ることを呼びかけても、簡単に切り替えることはできません。一つには大きな後遺症が残っているからです。負傷者の傷はまだ癒されてはいません。精神的な打撃は傷を残したままです。破損した建物の瓦礫はまだ片付いていません。アメリカの航空業界ではすでに数万人の人員整理を発表していますし、経済の先行きに対する不安が消費の冷え込みにつながることが心配されています。

 アメリカはどの方向を見つめているのでしょうか。第一にテロに対する戦争を実行しようとしています。テロ事件直後ブッシュ大統領が上下両院臨時国会で演説したとき、その内容には宣戦布告が含まれておりました。現在、ペルシャ湾とインド洋にアメリカの軍艦が配置される過程にあります。やがてパキスタン・アフガニスタン国境付近にもアメリカ軍隊が駐留することになるかも知れません。このようなアメリカの動きに日本を初め国連、ナトー諸国、ソ連などが協力・賛同の意を現しています。

 聖書にテロ行為は出てくるでしょうか。恐らくアマレク人がそうであったように思われます。シナイ半島の砂漠に住んでいた盗賊でしたが、強盗や殺人をすることによって生活を立てていた民族でした。代々の悪行のためついにサウロ王によって滅ぼされました。

 アメリカは、もう一つの方向を見つめています。それは自分自身のことよりもテロ事件で被害に会った方々のことを考え助けの手を伸ばしまた祈っていることです。アメリカ全国の教会・寺院・シナゴグに大勢の人々が追悼や祈りのために集まりました。無数の花束が捧げられ、9月末までに5億ドルの献金が企業や一般市民から被害救済のため寄せられ、アメリカの人々は自分のことよりも悲しみの中にある人々の事を考えています。

 他人のことを考えるのは、主イエスの教えです。イエスは言われました。「何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。」(マタイ7:12)他人のことを考えるようになると、自分中心の生活から開放されます。ヒューストン市(テキサス州)の新聞は、最近、離婚訴訟や恨みの訴えを裁判所から取り下げる人々が続出していることを報道しているそうです。私はテロ事件を悲しみながらも、アメリカに良いことが起こっているのを見ます。

 「だれでも、自分の利益を求めないで、他人の利益を心がけなさい。」(1コリント10:24)もし私たちが自分の利益ではなく他人の利益を心がけて教会に来るならば、私たちの教会はどのように変わるでしょうか。私たちが自分中心の生活から開放されて、より自由な人間になることができる、と主イエスは約束しておられます(ヨハネ8:31−32)。
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